タカシ先輩

「タカシ先輩ホントかっこいいよねー」
「ねー、いいよねー」
「あー、お近づきになりたーい」
「お慕い申し上げたーい」
「あ、でも私こないだ同じバス乗ったなあ」
「えーウソー! いいなー!」
「えへへ」
「そういえば」
「?」
「私もこの前、学食で隣の席だったよ」
「え、マジで」
「えっへへー」
「あー思いだした! そういえば思い出したわ!」
「!?」
「私なんて、バレンタインのチョコ渡しちゃったもんねー!」
「えー! なにそれずるーい!」
「ふひ、ふひひ」
「でもそんなん言ったら私だって」
「!?」
「私だって、先輩をフィーチャーしたCD出したことある」
「!」
「feat.先輩」
「わ、私なんて…私なんて、先輩に武力介入したことあるんだから!」
「えー!」
「もう大変! 国際世論とか色々大変!」
「なによそれなら私だってね! 私だって…先輩由来の成分で関節の痛みが和らいだことあるんですけど!」
「なにそれー!」
「あー楽! 布団の上げ下ろしがホント楽!」
「個人の感想でしょ!」
「もう手放せない」
「私なんてもう、先輩の織りなす色とりどりの自然を満喫したことあるわよ!」
「何よ! 私、先輩とよく似た人物を現場付近で目撃したことある!」
「先輩に則り正々堂々と戦ったことある!」
「先輩の行く末を案じたことある!」
「先輩を介して伝播したことある!」
「先輩を疎んじたことある!」
「先輩を偲んだことある!」
「キー!」
「なによ!」
「そっちこそなによ!」
「もう、だったらアレだわ、とっておきのやつ言うわ」
「言ってみなさいよ!」
「私なんて先輩より先に入学したことあるのよ! 先に入学して、先輩のことずっと待ってたんだから!」
「先輩か」