太陽と月の会話

「俺はすべてを明るく照らす。海も、川も、山も、森も。そこに暮らす生き物も全部だ。すべてを暖め、育むことができる。そうだ、お前が輝いていられるのも、他ならぬ俺のお陰なのだからな。まったく、この世界は俺が支えているようなものだよ」


「確かに私には、あたなのような輝きはありません。冷たい光は夜闇を薄めこそすれ、誰かを暖めることはないでしょう。私には、夜を微かに照らすことしかできないのです」


 月は静かに続けた。

「ただそれは、あなたにはできない。あなたが照らせば朝になる。朝になってしまう。私は夜に寄り添い、夜を夜のままに照らすのです」