ややこしい話

 女の子が好きだ。女の子は、少女漫画やケータイ小説が好きだ。それでは俺は少女漫画や携帯小説が好きか。
 否。断じて否だ。少女漫画やケータイ小説と自分とは、存在する次元がすれ違っているような感覚です。ゆるいバリアみたいなのがある。好きな人が好きな物を、自分も好きとは限らない。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 ところで「夜は短し歩けよ乙女」読了です。一気に読んでしまうのがもったいなくて一章ずつちょびちょび味わっていたのだけど、やっと読み終えた。これはすばらしい小説だ! 読んでいる時のニヤニヤ、読み終えた時のスッキリ感。これは…これは…。自分史上最高の小説かもしれない!(大した読書歴はないのだけど)

 感動冷めやらぬまま巻末の解説も読んだ。解説をしていたのは羽海野チカという人で、少女漫画の名作「はちみつとクローバー」の作者。そこでは彼女がグッときた名台詞や名表現が紹介されていたのだけど、ことごとく、自分で付箋を付けた箇所と同じだった。なんというシンクロ!
 こんな素敵な小説を、自分と同じ気持ちで読んだ人がいる。その事実がとても嬉しい。と同時に今、この人の描いた「はちクロ」を読みたくてしょうがない気持ちでいっぱいです。こんなに感性の近い人の書いた漫画だ。絶対好きになるに決まっている!

 でもはちクロは少女漫画だ。異次元の読み物、少女漫画。
 好きな人が好きなものを自分も好きとは限らないけど、好きなものを同じように好きでいる人の作ったものは好きになれるのだろうか。ややこしい。言葉にすると非常にややこしい。