疾風レディーに対する感情

自転車で疾走する女性を見ると、すごく変な気分になる。

いや決していかがわしい意味じゃなくてね?

というのも、今朝自転車で信号待ちをしていたら、きれいな女性と隣り合ったんです。多分二十代半ば? 自分と同じくらいかも知れない。スーツを着ていた。特にボーイミーツガール的なアレもなく、ただ漫然と、ああ、かわいい子だなぁと思いつつ信号待ちのちょっとの間並んでいたんだけど、信号が青に変わるやいなや、すごい速さで先に行ってしまったのです。そりゃもうべらぼうに速かった。全然追いつけなかった。

どんどん小さくなっていく後姿を見ながら、心の奥に広がる違和感に気付く。あれ、と。えーと、ものすごく勝手で失礼な話ですけど、万が一ボーイミーツガールなインシデントが起こったとしても、多分彼女にグッとくる可能性はすごく低い気がする。あ、ないな、みたいなそんな感じ。「自転車が速い女性」という記号にすごく違和感を覚える。

いやね、違和感って言っても、そんなにドロドロした嫌な気持ちじゃないんですよ? なんだろ、電車で化粧をしている女性を見る時のような嫌悪感とは全然違う。もっと軽くてワンダーな感覚。あえて例えるなら、「クラスの生徒会役員の女子に対する気持ち」とか? ちょっと違うな。うまく説明できないけど、なんか、精神的な距離感みたいなものだ。それはひくわー、とかの「ひく」っていう感情から、嫌悪感を引き算したくらいの。古語なら「すごし」。そんな気持ち。

仮に顔見知りの女の子が疾走しているのを目撃したとしても同じ気持ちにはならないと思うし、思ったとしても、速いなーオイ! くらいだ。見ず知らずの女性のそれを見ると、スイッチが入るらしい。変なの。膝をたたいて、勝手に足が跳ね上がるときの不思議さや面白さに似ている。原理はよく分かんないけど、そうなることが面白い。

自分でもよく分からないニッチな感情。今日はこれを見つけました。この感情に何か名前を付けたいけれど、良い案が浮かばないので、今日のところは発見をもって良しとします。あと、すごくきれいな人だったのでまた会えると重畳です。