草育て その2

以前、我が家で育てている謎の草のことを書いたことがある

何となく手に入れて何となく育てているうちに、何となく情が移ってしまったこの草。もう2年近く育てていることになる。最初は2枚だった葉っぱも今や数えきれないくらい(30枚はあるかも)に増え、当然成長に伴い植え替えもした。2回。

ところでそんな愛着あるこの草、ずっと名前を知らないまま育ててきた。土に入れてやって水を遣ると葉っぱが元気になる。寒い日に外に出しておくとしおれる。部屋に招いてやると元気になる。直射日光を当てるとバテる。そのくらいは育てながらなんとなく分かってきて、それ以上の情報は必要ないと思っていた。名前など「草」で十分だった。僕は草を育てているのだし、出来れば今後もずっと、この草を育てていきたいなあ、と漠然と思っていた。

ところが、である。先日なんとこの草、花を咲かせた。白くて葉と同じくらいの花びら一枚の中に、ひねり揚げのようなめしべ(?)があった。

この時の僕の気持ち、お分かり頂けるだろうか。文語で書いてきたのが一気に口語になっちゃうくらい嬉しかったんだよね。嬉しかった。快哉を叫んだ。「快哉を叫ぶ」の挿絵にしてもらいたいくらい、僕は嬉しかった。

その時のことはいくらかtwitterでも書いて、その中でも「ただの草なのだし、名前を調べる予定はない」といったような格好よいことを言っている。

白状すると、ウソである。めちゃめちゃ調べたかった。そもそも、それまでも何度か調べようと思ったことはあった。しかし情報が少なすぎて(緑の葉っぱしか手がかりがないからね)断念していた経緯があった。

そこにきての花、である。格好よいことトゥーイートしておきながら、僕は光の速さで検索を掛けていた。「観葉植物」「白い花」「景品」「育てやすい」ありとあらゆる検索ワードと、画像検索を駆使して僕は一心不乱に調べた。だって、調べたかったから! 偽り続けた恋心を爆発させた文学青年のように、僕は一心不乱に検索をした。

そして、ついに明らかになる彼(彼女?)の名前。

スパティフィラム

一つの区切りがついた音がした気がした。二年前、僕は謎の草をもらって、適当に育てて、花を咲かせて名前を知った。彼は名前をスパティフィラムと言った。第一部完。

そして僕はインターネッツの知識の井戸で、諸々の知識(彼はサトイモ科であり花言葉は「包み込むような愛」である。花に見えた白い部分は葉であり、本当の花はひねり揚げの部分であった、等々)を得たのであった。動画とかも見たよ。youtubeでね。youtubeで育て方の動画を見て、「高く評価」したりもした。

僕はこれから、スパティフィラムを育てていく。