アンパンマンと本気で戦う

 みなさん、メリークリスマスでしたか? みなさんのメリーは、本当にクリスマスしていたのでしょうか。己が胸に手を当てて、しっかり自問してほしいと思いますね。メリーについて、そして、クリスマスについて。クリスマスは、一過性の消費イベントではない。そういった大衆のお祭り騒ぎでは本来ないのです。ですが、その問題については今回述べません。これから書くことに全く関係がないからです。


 さて、うちには男児がおりまして一歳になったのですが、今年で二回目のクリスマスでした。去年は食事用の椅子みたいなのをプレゼントしたのですが、もうかなり玩具で遊ぶことの楽しさに目覚めてしまったので、今年はこれをあげました。


アンパンマン あっちむいてホイで遊ぼうよ

アンパンマン あっちむいてホイで遊ぼうよ


 あのねー、アンパンマンの首が動いて、あっち向いてホイができるんですよ。四方向のボタンが付いていて、それで勝負する。よく見ているアンパンマンの番組の、CMでよく紹介されていた玩具です。子どもはそのCMがすごい好きで、見るたびホイホイやっていたので、まあ買ってあげようと思ったのでした。対象年齢三歳以上だけど。


 ちなみにこの玩具、商品名にあるあっち向いてホイだけではなく、

  1. あっち向いてホイ
  2. おみくじ
  3. アンパンマンとおしゃべり
  4. 記憶


の4モードで遊ぶことができます。おみくじはね、なんかボタンを押すと、大吉とか小吉とか、ランダムで出る。今日の運勢は〜? みたいなやつ。かわいいかわいい。微笑ましいですよ。おしゃべりモードもそうです。今日は何をして遊んだの? みたいなことを、アンパンマンが首を動かしながら話しかけてくれます。ほっほえましい! 微笑ましさの権化だな!


 で、記憶。記憶モード。これが曲者なんですけど、先に書いた四方向のボタンが光るんですよ。1つからスタートで。上が光ったら、上、と押す。次は2つになって、上、左、みたいな。一個ずつ覚えるのが増えていく単純な記憶ゲームなのですが、これが結構難しい。法則性があるわけでもないので、純粋に頭を使います。


 でも。でもですよ。しょせんは子供の玩具じゃないですか。しょせんは、対象年齢三歳以上のトイじゃないですか。トイ、て。


 だからちょっと大人の本気を見せつけてやるかな、大人の本気ってやつを、まざまざと見せつけてやるかな、このアンパン野郎に! って思って本気で挑みました。


 5回。楽勝でクリア。ほいほーい、みたいな感じです。8回。まあちょっと難しくなってきますけど、四方向の順番を流れで視覚的にイメージすることで、記憶を強化します。大人のテクをなめるな。10回。多い。これは結構しんどいですが、前述の記憶術をフル活用します。このあたりでちょっと、必死。しかし10回。無事10回を乗り切った。


 10回終わったところで、アンパンマンの首がカクカク動きます。「10回、続いたよ! すごいすごい!」どうだ。これが大人だ。大人力だ。思い知ったか焼きたて菓子パン野郎!


 「じゃあ、いくよ!」


 まさかの11回目。えー! 行くのかよ! びっくりするわ。普通に行くのかよ。動揺を隠しきれぬまま、次々繰り出されるアンパンマンの攻撃。12回、14回、ひとつづつ、しかし確実に増えていくその手数は、確実に僕の脳を締め付けていきます。終わりの見えない戦い、無意味な上下左右の羅列。僕は、完全に彼に圧倒されていたのです。



 結果、19回*1で死にました。子どもは飽きてテレビ見てました。

*1:後日再戦を挑みましたが、健闘むなしく51回で死にました。どんだけやるんだ、っていう。もはやトイではない。