企業努力とかコーヒーへの理念とか

 コーヒーを淹れるときに使っているドリッパー(あの、フィルタとか挽いた豆とかをセットするアレです)、実は素材がプラッチックです。多分安かったから買ったと思うんだけど、最近知ったことには、これの耐熱温度が90℃なんですよ。

 え、ダメじゃん、ていう。沸騰したお湯は100℃ですよ。水は100℃で沸騰しますよ。それにこう、僕たちは注ぐわけだよね。ちょろちょろと。ダメじゃないか。怖い。何か溶け出ていたりしないだろうか。そもそもメーカーは何を考えているんだ。小学校で何習ってきたんだ。大丈夫か。

 で、このメーカーはアホばっかりなのかなー、「水の沸点90℃じゃね? えへへー」みたいなアホばっかりなのかなーって思ったんだけど、刹那、頭に閃きが走った。あれじゃん、90℃といえば、コーヒーを淹れるのに最適な温度じゃないか! 苦味と酸味がバランス良く抽出される、ベストなテンプラチャーが90℃だった!

 ええー! この事実に気づいた瞬間の気持ちっていったらない。アホアホメーカーと思っていたのに、実は側は恐ろしく配慮に満ちた企業だった。耐熱温度をあえて低く設定することで必然的に、抽出温度を知らないコーヒービギナーでもおいしく淹れることができるよう導いていた。すげえ! きっと90℃なのは、わざとなんだろうなー。技術的にはもっと高くできる。でもおいしいコーヒーを世に広めるために、あえて90℃にしている。かっこいい。それをあえて公言しないのもかっこいい。ステキなコーヒーライフをユーザーに提供するために、汚名を甘んじて受ける。その姿勢に感動した! まあ、汚名を着せたのは俺です。

 でも、よく考えたら抽出の前に、一度熱湯を注ぐんだった。器を温めたりフィルタの紙臭さをとったりするために、100℃近いやつを注ぐのだ。ダメじゃん。おい。どうなってる。