自動追尾システム

 嫁が御父様の誕生日プレゼントを買いたいと言うので、買い物にくっついて行ってみた。入店したのは某ブランドのブティックで、嫁があれやこれや見て回っている間、俺はただただ身の置き場に困りながらキョロキョロしていたのですが。

 あのー、ああいう店に行く度思うのだけど、店員さんの挙動がすごい。こう、入った瞬間から自動追尾モードじゃないか。つつつー、って。どこへ行ってもぴったりマーク、あれが怖い。立ち止まったら死ぬ。死ぬるわ。いや死なないですけど。でも確実に「何かお探しでしたか?」って話しかけられる。ギャー。怖い! いやね、確かにこっちは何かしらお探しですけど。だから話しかけられても困らないはずなんだけど、でも、もっと好きに見させてほしいと思う。高級感溢れる場所で高級感溢れる店員さんに話しかけられて冷静な判断力を保てるほど、高級感溢れる客ではない。穿いてるデニムはユニクロです。

 他の店員さんのことも観察していたんだけど、だいたい客をぴったりマークしていた。もうなんだ、お前ら全員バスケ部か。マンツーマンディフェンスか。あんな高度な技術を全員が自然に習得するとは考えられないので、きっと誰かに習うんだろうな。新任研修で、そのためのコマが用意されてる。座学から始まって、実践編応用編と、がっちりカリキュラムが組まれているに違いない。そして最終日は2人1組になってのロールプレイ。余った人は先生と。