生まれて初めて馬に触った

 嫁は日中野球を見てきたらしく、家に帰ったら「日にあたってちょっと疲れちゃったな…」と言っていた。お前は病弱可憐乙女か! と心の中でツッコミを入れて、聞き流しておきました。よし今日も快調だ。

 楽天がCS第二ステージ進出を決めたその頃、俺は動物ふれあい牧場的なところに居た。やあ、恥ずかしながらこの歳になって初めてそういう所に行ったのですが、とても面白かった。あれはもっと小さな頃に行っておくべきだった。

 ヤギの毛の意外な硬さにびっくりしたり、ヒツジに指を突っ込んだ時のぬくさに気持ち良いような悪いような妙な気持ちになったり、馬にエサをあげたときに見える、唇のいやにリアルな動きにドキドキしたり、そういう経験をもっと早くにしておくべきだった。今までこんなにたくさんの知らない感情があった。知らずに大人になってしまったよ僕は。来し方20数年を取り戻すかのように、辺りの子どもを押しのけて楽しんできた。

 あと一応ご飯食べるところもあったのだけど、そっちは全然流行ってなかった。流行ってないのにパートのおばちゃんはいっぱい居るもんだから、食券買うとわー、っておばちゃんが寄ってきて「え!? え!?」ってなる。怖い。誰かが食べ終わった席には、3人くらいがわー、と集まって一瞬でテーブルを綺麗にしていた。その様子をなんか既視感があるなぁ、と思って見ていたのだけど、アレだ。ついさっき見たわ。エサのパンを手に柵に近づくと、わー、っていっぱい寄ってきていたじゃないか。あの迫力に近い。