台風がくるとワクワクする

 そんなのはおこちゃまの考えです。大人になったら台風なんかじゃワクワクしません。通勤で濡れるし、夜中に職場へ呼び出されるし、日本各地での被害に胸を痛めたりもします。台風なんて、いっこも良いことありません。にっくき自然災害であります!

 …その気持ちとは裏腹に、なぜかそわそわ気持ちが浮き足立ってしまうのだ。これはどうしようもない。あの雨! あの風! 部屋の中に居てガラス窓に目を向けると、「ずわっ!」っと鞭のようにしなった風と雨が容赦なく打ち付けてきて、どこかの家のバケツが勢い良く転げていくが見える。あの力感。そしてその猛威の中、家の中に居る安心感。ああ、いいよ。台風。

 冒頭に書いたように色々と嫌いなところはあるのだ。いうなれば社会的な理由で。でもワクワクもする。こっちは体の底から湧き上がる原始的な感情だ。梅干をみて唾が出るのと同じで、なんというか、生理的な現象だと思う。もちろん人前でおおぴっぴらにワクワクなんてしない。空気を読むというやつです。だから代わりにここに書く。あと大雪や雷も大好きです。