おっさん50人を小部屋に詰め込むとどうなるか

でっかい一人のおっさんになる。


 ということは全くもってさらさらなく、ただ単に、むさくるしいだけだった。あと臭い。今日は会議だった。
 狭い会議室に鮨詰めになって議論を繰り広げるおっさんたち。整髪料の芳香とおっさん由来の野生の香りとが混ざって、とろりとした空気が狭い室内を隅々まで満たしていた。これは…。本当に一人のおやじになってもおかしくない。まったくもっておかしくないことであるな! と思いながら匂いに目を回していた。おかしくなっていたのは俺です。

 でもよく考えたら、この会社はおっさんで動いているのだ。おっさん達が会議室に籠ってうんうん唸りながら、この会社を動かし、果ては社会が動いていく。いわばこの会社はでっかい一人のおっさんじゃないか! なんてことも考えていた。だいぶおかしくなっている。あの匂いは生物兵器に等しい。

 念のために言っておくと男尊女卑とかそういう話をしているのでは全然なくて、おばさんもすごく活躍している。パワフルなおばさん方が、八面六臂絶賛ご活躍中だ。ただ、会議にはおばさんは1人くらいしか居なかった。もっと居たら匂いも中和されていたかもしれない。


 関係ない話だけれど、帰途に就く夜道で、闇を引き連れたおじさんを見かけた。ぎょっとしてよくよくその闇を凝視してみると、黒くて小さいモップみたいな犬のようだった。あれは何という種類だろう。闇を引き連れるおじさんという絵がとても印象的だったので書いた。