月のない、暗い、静かな夜だった。 「夜明けを見に行こう。僕と一緒に」 私の手を取ると、彼はそう言った。声が上ずらないように注意を払いながら、訊く。 「え…今から?」 「そうさ。今から出れば、ちょうど間に合うはずだよ」 彼の手は大きくて、暖かかっ…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。