かりそめの王

今度の休みに職場の採用試験がありまして、その試験監督に駆り出されることになったので家でマニュアルみたいなの読んでるんですけど、あのー、ヤバいですよ。なにがヤバいって、そのマニュアルの「監督員」の項目に、「監督員は、その室の試験実施についての一切の決定権を持つ」って書いてある。一切の決定権!

やー、すごいですよね。これはすごいことです。だってこれはつまり、例えば僕が「えっと、じゃあこれからドッジボールをしましょう」って言ったらそうなるってことを意味する。みんな試験受けに来てるのに! でも仕方ないじゃないですか。監督員には、一切の決定権があるのですから。ポートボールだってできる。長なわでもいい。女子だけ視聴覚室行かせてもいい。なにせ、一切の決定権があるのだからね。一切の決定権が、ここにはある。

これはもう王ですよ。すごいというか、怖い。不相応な権力をうっかり手にしてしまうこの怖さというか。

ときに昔、免許をとらない友人になんで免許とらないのか聞いたことがあったんですけど、そしたら彼、「だって、ハンドルぎゅーん! て切ったら死ぬじゃん」みたいなこと言いまして、当時の僕は「はあ……」って思ったものでしたけど、今はすごい分かりますね。分かる。分かるわー。怖いよねー。

でまあ、そんな権利いらないわー。いらないいらない。普通に座って、試験監督だけしてますから。いいですから。って思ったんですけど、そもそもこれは権利じゃなくて、義務の話なのでした。

ということで、今度の休みはお金の分だけしっかり君臨してきます。まあ、ドッジボールはするんだけど。するんかーい!