地球にパンチ

 震災以降特に疑問に感じるようになったのは、「全部誰かのせいじゃないいといけないのか?」ということです。

 「怒ってしまった悪いことは、全て誰かのせいでなければならない」という強迫じみた観念が、社会を縛っている気がする。

 もちろん国や地方自治体、電力会社の対応の不備はあったのでしょうし、その責任は決して小さくないのですが、なんて言ったらいいんだろう。「仕方ないじゃん」で済ますことを一切許さない空気、みたいなものがある。

 そもそも天災なんて、完璧に防げるはずがないじゃないですか。そうであるなら、実例を示してほしい。人類の歴史の中で、一回でも、自然を完璧にコントロールしたことがあったでしょうか。ないですよ。あるわけがない。なぜなら人も、自然の一部に過ぎないからです。

 なのに今は、怒ってしまったすべてのことを、誰かの責任に割り振ってしまおうとしている。起こってしまったからにはしょうがないことだって、中にはたくさんあったはずなのに。どこかに必ず責任者がいて、起こったことを賠償という形ですべて補償してくれる。そして、それが社会のあるべき姿である、みたいな。そんな雰囲気。そんなの、甘っちょろいですよね。甘っちょろくて、その上ギスギスしている。いいとこいっこもない。

 一番悪いのは地球ですよ。悪い、っていうのとは違いますけど。でも地球です。そしてそれは、誰もが分かっている。分かっているけど、地球にパンチしてもごめんもなにも言ってくれないから、どこかに責任を求めたくなってしまう。そんなところなのではないでしょうか。

 テレビやネットで外野がワーワー言ってるのを見ると、いいからちゃんと働けよ、と思う。そして悲しくなる。いいから、できることをやれよ。一人の被災者として、そう思う。僕も働くからさ。な。頑張りましょう。