決意表明

 あのですね、レンジ、まだ捨ててないんですよ。半年前の地震で壊れて、通路に出しておいたらお隣さんも壊れた食洗機出してきて、みたいな紆余曲折があった古いレンジ。大きなのっぽの古レンジ。大きくものっぽでもないけど。


 過去エントリにも書いたとおり、震災で壊れた粗大ゴミは、指定の場所に持っていくことで、特段費用を支払うでもなく処分をしていただける仕組みになっていて、まあ、「震災ゴミ置き場」というのがあったんですよ。5月くらいまでかな。あったんですよ。でまあ、そろそろ生活も落ち着いたし、捨てに行くかなー、って思い立ったんですけど、それが6月のことでしたね。無かった。ゴミ置き場無かった。きれいさっぱり、更地になってた。


 えー! なにやってくれてんの仙台市! 良すぎるわ! 震災復興の、手際が良すぎるわ! まだあるから! ここに! 震災のゴミが! 痛々しい震災の爪痕が! まだあるからー! おーい!


 という心の叫びも虚しく響くばかり、というか10:0で僕が悪いですけど、そんなこんなで出しそびれてしまったのでした。そうなると、まあ普通の粗大ゴミ扱いなわけで。回収券を買ってきて、ぺたっと貼って、粗大ゴミの日に出さなければいけない。めんどくさい。一回こう、捨てに行こう! ってなったテンションがガックーン! ってなった今、なかなかモチベーションが上がらず、結局そのままになっています。ダメすぎる。


 7月くらいだったかな、マンションの大規模なペンキ塗り工事があって、レンジの置いてある通路部分もその対象だったんですけど。その時なんてアイツ、丁寧にビニール被せられてましたからね。ペンキがつかないようにって。消火器や警報装置と同じ扱いですよ。お前認められちゃってんじゃん。共有通路を構成する設備のひとつとして、立派に認めてもらってるわ。その時僕は、心の底から誇らしいと思いましたね。あと、工事の人に申し訳なかったですね。


 もうなんだ、いっそこのまま捨てずに、震災の記憶を後世に伝えるメモリアルパーク的なことにしたらいいんじゃないか。うちを。うちの通路を。皆、こぞってお越しになればいいですよ。狭いけど、もてなす心は忘れてないから。みんな来て、閉まらないレンジのドアとか見てったらいいじゃない。そこしか見るとこないけど。その後お茶くらいなら出すよ。コーヒーが良ければコーヒーを淹れるよ。


 違う。そうじゃない。捨てるから。もう本当に捨てますから。さよならレンジ。今日はその踏ん切りをつけるために書きました。次の粗大ゴミの日が、奴の命日だ。ってもう死んでるー!