草育て

 携帯変えたとき、なんか変な観葉植物もらったんですけど。


 眼鏡のレンズくらいの大きさの、いかにも葉っぱ、っていう葉っぱが二枚ちょこんと出た、手のひらサイズの草。これまた手のひらサイズの説明書が同封されていて、「あんまり暑い所や寒いところに置かないで下さい、土が乾いたら水をあげてください」とだけ書いてあった。つまり、簡単。いや、景品で配るような草が難易度高くても困るんだけど。


 でまあ、ふーん、なんつって適当にちょいちょい水をやったりしながら育てているんですけど、これがなかなか良い。たまに水をやって、天気のいい日はベランダに出してやる。葉っぱの色が悪ければむしる。これだけなんだけど、それまでの生活になかった感覚がたくさん得られます。得まくりです。それまで日当たりベストだったベランダの場所が、いつの間にか日陰になってて、日が高くなっている! みたいなのに気付いたりとか。植え替えするのに近所でいい土ないかウロウロして、近所にはいい土がない! って気付いたりとか。まあ、そんな感じです。


 植え替えの件は仕方がないので、実家に電話して、土をもらった。実家は田舎なので土が豊富なのである。それでこないだ植え替えをしてやろうとずぼっと抜いたら、根っこが鉢にびっしり詰まっていた。狭かったかあ、悪い悪い、なんて言いながら、一回り大きな新居に移して、百円ちょっとで12本くらい入った栄養剤をぶっ挿して、今日も天気がいいのでベランダに出してやっている。当初二枚だった葉っぱも今や五枚あります。根もとを見たら小さな、葉っぱらしい葉っぱをした子どもが生えていた。