奥歯の底なし沼

 歯の治療中である。今年は嫁があれこれしているので、医療費控除の関係で歯医者とか行くなら今年のうちに行っとけ、みたいなことになっておりまして、意を決してカランと歯医者のドアを開けた。虫歯は2本見つかった。


 1本はちょいちょい、と終わって今は残りの1本(左上の奥歯)に取り掛かっているのだけど、これが結構重症というか、被せていた詰め物の下でだいぶ虫歯が進んでいたらしく、先生もあーあー! と仰っていました。石ころひっくり返したらいっぱいダンゴムシ居たときのリアクション。一回では治療が終わらず、一旦型を取って、仮の詰め物をして一週間待つことに。


 でね、これ毎回思うことですが、仮の詰め物って軟すぎないですかあれ。ちょっと硬いもの食べたらすぐグニャっていくし。詰め物としての自覚が足りないと思う。まあ、あんまり硬いと次の治療で大変そうですけど、なんかね。今日なんかラズベリーの種が詰め物の奥に消えてしまいましたよ。条件が揃えば芽が出るぞ。


 そんなこんなで最近はなるたけ右の歯だけで食事をするようにしているのだけど、これがまた大変で。時間は倍以上かかるし、なにより食事が美味しく感じられないので閉口している。舌の半分でしか味を感じていないからか、どことなく味気ない。片目で見た世界の、遠近感を欠いた不安な感覚に近い。いやはやまったく困ったものですね。歯はきちんと磨こう。