「きつねのはなし」を読んだ

きつねのはなし (新潮文庫)

きつねのはなし (新潮文庫)


 今日は急遽休みを取れたので、読書日。雨だし。時間を気にせずゆっくり文字を追えるのはとても幸せでありますなあ。


 それでもくもく読んだ。読んだつーか読んでる。短編集なので「きつねのはなし」以外にも3本入っています。とりあえず「きつねのはなし」だけ読み終えたので今勢いでこれ書いてるんですけど、あー、これは裏切られたわー。いい意味でね。森見作品といえば明るくてドタバタした楽しさに溢れてるイメージが真っ先にくるけど、これは暗い。暗くて、静かで、空恐ろしい。いつもの感じかなーってふんふん読み進めていたら、いつの間にかずるずると暗い世界へ引き込まれていった。森の中で遊んでたらいつの間にか夕暮れ時になっちゃった、みたいな、途端に不安がむくむく湧いてくる、みたいなそんな感じを味わいながら、一気に読みきった。これは面白い。言葉の選び方もいちいちすごく綺麗でため息が出る。


 そういえば米澤穂信も明るい古典部とか小市民シリーズから読み始めて、「犬はどこだ」「儚い羊たちの祝宴」なんかを読んだ時もおおお…ってなったの思い出したわ。暗がりに迷い込む感覚が好きなのかもしれん。