「なぜ人を殺してはいけないのか」を読んだ


 読了。大学時代に買ったまま本棚の肥やしになっていたのを引っ張り出してきて、読んだ。


 ショッキングなタイトルですが、念のために言っておくとこれは反語ではありません。この本では純粋に、論理的に、倫理学的な観点から、「人を殺すのはいけないことなのか、いけないとすれば、その根拠はなにか」を突き詰めていきます。他にも、

  • 人は何のために生きるのか
  • 「私」とは何か
  • 他人に迷惑をかけなければ何をやってもよいのか


 みたいな、人の根っこの方にある、だけど言葉で形にするとギョッとするような、そんな問いが続きます。もし急に子供から訊かれたら、あたふたして「ダメなものはダメ」とか「いや、それはそういうもんだから…」としか答えられなくてもどかしい思いをする(少なくとも俺はする)、そんな問いに対して、著者がガシンガシンと論理を構築しながら答えていきます。痛快な著者の書きぶりに惚れた。途中から本題よりも著者の思考と筆力に目が行ってしまって困るくらい。


 するりとは読めないけれど、今まで目を向けなかった部分に光を当てる本。オススメです。